さて、「夢」は、
無意識にいたる王道とも言われ、
心理療法の各派が
重視しているものです。
ゲシュタルト療法においても、
独自の理論や、
ワークの技法を持っています。
実際のところ、
ゲシュタルト療法の、
夢のワークは、大変ユニークなもので、
新鮮な気づきを得ることが、
できるものとなっています。
ここでは、
その方法論や手順について、
記していきましょう。
①理論
ゲシュタルト療法では、
夢に登場してくる人物や、
事物(風景の含めて)とは、
クライアントの方の「断片化された自我」
であると考えます。
クライアントの方の心の全体が、
夢として、
現れていると考えるわけです。
そのため、
通常のワークと同じく、
クライアントの方が、
それぞれの自我の状態をよく体感し、
気づきを得て、
自我同士の交流や統合を図っていくことが、
ワークの目的となります。
②手順1 現在形で話してもらう
まずは、
クライアントの方トに、
夢の話をしてもらいます
この時、ポイントがあります。
夢の話を、
「現在形で」話してもらうのです。
通常、人は、夢の話をする時に、
「~であった。~でした。」と、
過去形で話します。
しかし、このワークでは、
それを、夢を見ている当事者になって、
「今~しています」
「今、~が~しています」
と現在形で、話してもらうのです。
夢とは、
常に生きつづけている無意識の表現です。
このような話し方に変えることにより、
クライアントの方は、
ダイレクトに感じることができます。
また、過去形の回想形式では、
要約されてしまうことによって、
見過ごされてしまう、
小さな場面や細部、
または情動の反応に、
細かく気づくことができるからです。
(クライアントの方の、
反応が顕著な場合は、
そこからすぐに通常のワークに、
うつります)
③手順2 実演化する(登場人物になる)。
夢を話してもらった後に、
クライアントの方に、
気になる場面を、
ピックアップしてもらいます。
その「場面」を、ワークの素材としていきます。
その場面の中で、
クライアントの方が「気になる」、
色々な登場人物や事物を、
エンプティ・チェアに置いていきます。
そして、エンプティ・チェアのワークと同様に、
その役に、なってもらい、
その夢人物の背後に、
とのような欲求や自我がひそんでいるか、
探っていきます。
エンプティ・チェアのワークと同様に、
出てくるプロセスにしたがって、
ワークを展開していきます。
ところで、
通常、夢の中で現れる自分=主体は、
普段の日常的現実の中で、
自分が同一化しがちな自分です。
一方、自分以外の他者・事物は、
大概、自分が排除し、切り離してdisownいたり、
周縁化marginalizeしている、
自我が多いものです。
しかし、実際に、
それらの自我状態になってみると(同一化してみると)、
それは、大概、秘めた智慧を持っており、
現在の人生に対する、
さまざまな(実存的な)ヒントを与えてくれることが、
多いのです。
さて、以上が、
ゲシュタルト療法における
夢のワークの進め方のあらましとなります。
夢のワークは、
実際に体験してみると、
私たちの心の中の、
深い智慧や可能性を知る、
新鮮な機会となります。
また、
私たちの内的世界への信頼を深め、
内なる創造力に接触する機会にも、
なるのです。
【PART2 Standard】
気づきと変性意識の技法 基礎編
【PART3 Advanced】
気づきと変性意識の技法 応用編
創造性開発 creativity development の技法
【PART4 当スペース関係】
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