当スペースで、
「体験的心理療法」と呼んでいるものは、
主に、1960年代に、
米国西海岸を中心に広まった
心理療法のタイプの一群です。
当スペースの中心技法である、
ゲシュタルト療法や、エンカウンター・グループ、
代表的なものです。
また、当時の普及のメッカとしては、
エサレン研究所 Esalen Instituteなどが
知られています。
エサレン研究所の所長、
マイケル・マーフィーは、
その活動初期に、
エンカウンター・グループを体験し、
これは、「サイケデリック物質と同じくらい、
人を恍惚とさせるものだ」と感じたようです。
そして、これを、
「新しい、アメリカのヨガであり、
個人と宇宙とを結合する道だ」
と思ったようです。
(W・T・アンダーソン 『エスリンとアメリカの覚醒』 誠信書房)
そして、実際、
この地から、
心理療法の新しい潮流も、
ひろまっていったのでした。
「私は、以前より、開かれ自発的になりました。
自分自身をいっそう自由に表明します。
私は、より同情的、共感的で、忍耐強くなったようです。
自信が強くなりました。
私独自の方向で、宗教的になったと言えます。
私は、家族・友人・同僚と、より誠実な関係になり、
好き嫌いや真実の気持ちを、
よりあからさまに表明します。
自分の無知を認めやすくなりました。
私は以前よりずっと快活です。
また、他人を援助したいと強く思います」
(ロジャーズ『エンカウンター・グループ』畠瀬稔他訳/創元社)
エンカウンター・グループ体験者の言葉です。
このような、心のしなやかさや感度の獲得は、
どのような体験的心理療法を体験したとしても、
それが、充分に深められた場合には、
おおよそ、共通している要素です。
ゲシュタルト療法やエンカウンター・グループは、
実際に表現してみることや、
人間相互のやりとりを通して、
知的な解釈ではない、
深い感覚(感情)的体験を、
直接経験していきます。
ボディワーク・セラピーや、
身体に直接働きかけ、
そこから出発することで、
知的に乖離しているクライアントの、
存在の深部から、
直接に作用をさせます。
その分、効き方も、
強いもの(強度の体験)になります。
そのことにより、
深部の心理プログラミングを、
書き換えていきます。
知的なフィルターのせいで、
袋小路に陥ってしまっている、
現代人の多くにとっては、
めざましい自然治癒を活性化させる、
有効な療法でもあるのです。
また、体験的心理療法は、
深部からの心身一元的な領域で、
開放を促すため、
意識の多様な領域を、
開示することにもなります。
変性意識状態へのアクセスにおいて、
特に、実践的で、
有効なアプローチとなっています。
筆者自身、実際に、
さまざまなセッションを体験してみて、
そのめざましい効果や、
体験世界のひろがりに、
圧倒されたのでした。
また、自分が自発的に持っていた、
変性意識状態を理解する、
方法論であることを、知ったのでした。
現代の日本では、
体験的心理療法は、
あまり一般の認知がなく、
場合によっては、
自己啓発セミナーなどと混同されてしまうという、
残念な結果となっています。
当スペースでは、
ゲシュタルト療法の他に、
周辺領域にある、
さまざまな体験的心理療法の、
知見や技法も活かして、
心の悩みの解決や、
潜在的力の開発に、
役立てています。
※気づきや統合、変性意識状態(ASC)への
(スタニスラフ・グロフ博士のインタビュー
http://hive.ntticc.or.jp/contents/interview/grof)